「モノグラフ」第22号(「個別研究篇」Ⅵ)と第23号(「個別研究篇」Ⅶ)ができ上がりました。これが「原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究」の報告書としての最終号となります。
この2冊にはDīgha-nikāyaとMajjhima-nikāyaに収録されている経とその漢訳対応経、およびSaṃyutta-nikāyaの冒頭部分の経とその漢訳対応経の、1つ1つの経の説示年代を考察した研究ノート5篇が収録されています。
この研究は平成4年に始まりましたから今年は28年目にあたります。この間に23冊の研究報告書たる「モノグラフ」を発行したことになります。
そして今年の11月16日(土)に開催を予定している「研究完成報告会」において、『釈尊および釈尊教団形成史年表』と『釈尊の生涯にそって配列した事績別原始仏教聖典総覧』を発表させていただき、これをもってこの研究自体も大団円を迎えることになります。これにともない「釈尊伝研究会」も解散する予定です。
当初からのこの研究の目的は、「モノグラフ」(第1号、1999年7月)に掲載した【論文1】「『原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究』の目的と方法論」 p.2に記したように、
①「釈尊年譜」と「釈尊伝」
②仏弟子・寺院などの「各伝」
③「釈尊教団形成史」
④釈尊の生涯と釈尊教団形成史にしたがって配列した「漢パ対応の原始仏教聖典目録」
を作成することと設定してありましたから、これらをもって所期の目的はほぼすべて達成されたことになります。
ただ①に記した「釈尊伝」は、できたら一般読者にも読んでいただけるような内容のものにしたいと考えておりましたが、これだけはかないませんでした。
しかし『総覧』は原始仏教聖典自身に語らせた釈尊の伝記と釈尊教団の形成史ともいうべきものであり、『年表』はそのサマリーとでもいうべきものですから、まさにわれわれの研究の集大成たる「釈尊伝」と「釈尊教団形成史」であるわけです。
われわれの研究は、素材たる原始仏教聖典の処理過程と、釈尊の生涯と釈尊教団形成史に係わる個別テーマの研究経過、そしてその結論の集大成のすべてを23冊の「モノグラフ」と『年表』『総覧』に細大漏らさず発表し、かつその大部分はネット上にも公開してあるのですから、もしこの研究の成果を評価してくださる方があれば、これらを材料にして新しい「釈尊伝」をまとめてくださればよいと考えています。
それはともかく、11月16日の「研究完成報告会」には、この研究に関心をお持ちいただいている方には、できるだけたくさんご参加いただきたいと思っています。近くなりましたらご案内をいたします。お待ちください。