「モノグラフ」最終号の校正合宿をしました 森 章司(2019.3.8)

2019.03.12

 最終号となる「モノグラフ」第22、23号の校正合宿を行いました。2月25日(月)から3月4日(月)までの7泊8日の日程で、3月1日までは森章司、金子芳夫、岩井昌悟、本澤綱夫、石井照彦の5人、3月2日からは森と金子の2人でした。場所はいつものとおり中央学術研究所と立正佼成会の施設をお借りしました。

 「モノグラフ」最終号というのは、「モノグラフ」は1999年(平成11年)の7月に第1号を発行して以来、ちょうど20年の間に23冊を発行することになりますが、これをもって終刊にするということです。
 この2冊の「モノグラフ」には、パ・漢の原始聖典に収録されている1つ1つの経の説示年代を考察した「DIgha-nikāyaと対応漢訳経の説示年代の推定」など5つの研究ノートが掲載されています。説示年代とは簡単にいえば、経の冒頭の「如是我聞。一時仏在......」中の「一時」が、釈尊の生涯の何歳のどの季節に相当するかということです。この年代は原則としてその経に記されている事績の年代ということにもなりますから「事績年代」と言い換えることもできます。
 5つの研究ノートはすべてこの説示年代を推定したものですから、本来は1冊にまとめるべきものですが、併せて900ページを超えるので便宜的に2冊に分けたにすぎません。

 「原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究」は平成4年に始まり、今年で28年目に入っておりますが、「モノグラフ」を終刊するということは、この研究自体がその最終章を迎えているということになります。いわば平成の時代と共に歩んできて、平成が終ると同時にこの研究も大団円を迎えるということです。

 といってもこの「モノグラフ」がこの研究の最終報告書ということではありません。われわれは今、『釈尊および釈尊教団形成史年表』と『釈尊の生涯にそって配列した事績別原始仏教聖典総覧』の編集に精魂を傾けています。これこそがわれわれの研究の集大成となるものです。
 『年表』は、釈尊の生涯と釈尊教団形成史上の1つ1つの事績が、釈尊の何歳のどの季節のことであったかを記したものであり、『総覧』はその1つ1つの事績を記したパ・漢のすべての経名とその内容をかいつまんで記載したものです。

 『年表』の1つ1つの事績には、われわれが今までに「モノグラフ」上に報告してきたどの研究論文やどの研究ノートが論拠となっているかも記入してありますから、読者の皆さまにはそれを読んでいただき、その推定の正否を判定していただけるようになっています。

 ところでこの『年表』の冊子版と『総覧』の電子版を、今年(2019年)の11月16日(土)に開催する「研究完成報告会」において発表させていただきたいと思っております。この報告会は、この研究に関心をお持ちくださっているどなたでも参加していただける形を考えています。詳細は後日にお知らせしますのでぜひ奮ってご参加いただきたいと存じます。