12月8日(金)成道会の日に第44回、今年度最後の「釈尊伝研究会」を行いました。出席者は森章司、金子芳夫、岩井昌悟、本澤綱夫、石井照彦の研究会員全員です。今回は『釈尊年齢にしたがって配列した原始仏教聖典目録』の原稿作成にあたっての聖典の記載順序について討議しました。
「聖典目録」に収載する文献はもちろんパ・漢の釈迦仏教の「経蔵」と「律蔵」(われわれはこれを「A文献」あるいは「聖典」と呼んでいます)が中心であり、この掲載順序はすでに「モノグラフ」第1号(1999年7月発行)に掲載した【論文1】「『原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究』の目的と方法論」(p.78以下)において定めてあります。
しかしインド(スリランカを含む)撰述の注釈書レヴェルの文献(われわれはこれをB文献と呼んでいます)と、A文献と併せてB文献をも素材として作られた中国やタイ、ミャンマーなどで撰述された文献(われわれはこれをC文献と呼んでいます)の記載順序についてはいまだ細かなことを定めておらず、「成道以前の仏伝資料集」(担当:金子)と「『律蔵・受戒犍度』を中心とした釈尊伝資料集」(担当:岩井)の原稿を執筆するに際し、規則を作って統一性をはかる必要が生じたからです。これについてはこの研究会で出された意見を取り入れて、岩井が具体的な凡例(案)を作り、次回の研究会で検討し決定することになりました。
また「サンユッタ・ニカーヤ『有偈篇』の神たち」(担当:森)の草稿ができ上がり、今回はこれも検討する予定でしたが時間がなくなったので、これについては資料を持ち帰って読んでもらい、意見をメールで集約することになりました。
また前回の研究会で宿題とした「目録」編集の手段と方法の軌道修正についてはまだそのままに残されています。これについては森が素案を作り、次回以降の研究会で検討することになりました。