1月19日(金)に第35回研究会を行いました。森章司、金子芳夫、本澤綱夫、石井照彦が出席しましたが、岩井昌悟はインフルエンザを罹患して欠席でした。
今回は「聖典目録」を編集するための基礎的課題として、「仏在処不記載経」の処理方法を主なテーマとして議論しました。
仏教聖典は、漢訳でいえば「如是我聞。一時仏在○○。」というような文章で始まるのが原則です。漢訳の原始聖典はすべてこのような形式になっていますが。パーリのSN.(サンユッタ・ニカーヤ=相応部)やAN.(アングッタラ・ニカーヤ=増支部)のように短い経典では、この部分の記されていないものがあります。それをここでは「仏在処不記載経」と呼んでいます。
われわれの現時点での調査では、PTSテキストによれば、このような経はSN.に588経、AN.に548経あり、合計で1,136経あります。けっして少ない数ではありません。しかもこれはまだ調査中の数ですから、もう少し増えるでしょう。
しかしこの部分はもともとはあったはずで、おそらく文字に記され、今のような形態に編集された時点(写本として残された時点)で、省略されたものであろうと考えられます。そしてその省略には法則があったはずだということで、その法則を探ることが今回の研究会のテーマでした。
研究会では、その主な法則には3つがあるであろうということになりましたが、1つ1つの経には個別に検討しなければならない要素が含まれる場合もあり、そう単純ではなさそうです。この不記載の仏在処を埋める実際の処理を始めるのはもう少し検討してからということになりました。