年度中に開けなかった12月定例研究会を1月23日(水)に行いました。釈尊伝研究会としては第13回目の研究会ということになります。研究員が分担している研究テーマの進捗状況は以下のとおりです。
本澤綱夫、岩井昌悟:Mohan Wijayaratna著の"Buddhist monastic Life--according to the texts of the Theravāda tradition"のフランス語元版の版権者Laurence Rondinet氏との連絡が取れました。しかし翻訳の許諾は著者からもらってほしいとのことで、氏に著者の連絡先を尋ねていますが、いまだ返事がもらえていません。もしご存知の方がありましたら、ご迷惑はおかけしないようにいたしますのでお教えくださいませんでしょうか。
なおこの調子では埒が明きそうもないので、全文の翻訳ではなく、内容を詳しく紹介しながら細かなコメントを付す形式に改める準備もすることにしました。
金子芳夫:「原始仏教時代の通商・遊行ルート」(仮題)のデータ収集がほぼ終了しました。これからこれを次のような手順で整理することになります。(1)大都市(今のところ13の都市を設定している)と大都市を結ぶ遊行ルートを地図上に描いてみる(航空路のようなもの)。(2)大都市2点間の細かな遊行ルートを地図上に描いてみる(道路地図のようなもの)。(3)上記の遊行ルートと現在の道路地図や地形図などに重ね合わせて、非現実的なルート(例えば王舎城からウッジェーニーへの直通ルートなど)を消去する。(4)残された遊行ルートを原始聖典の記述から検証する。
森 章司:【研究ノート】として進めてきた「釈尊と仏弟子たちの事績の年代推定」のなかから、「摩訶迦旃延(Mahākaccāna)の生涯と五衆白四羯磨具足戒法の制定年」「ヴェーランジャー(Verañjā)での雨安居年」などを1つにまとめて、「サンガと律蔵諸規定の形成過程」(仮題)という論文にすることにしました。これは次のような構成になる予定です。
はじめに
【1】律蔵の体系
【2】具足戒の種類と名称
【3】善来具足戒と三帰具足戒の制定とサンガ祖形の形成
【4】十衆白四羯磨具足戒法の制定とサンガの形成
【5】受戒資格項目(遮・難)の制定
【6】波羅夷罪第1条の制定
【7】他の波羅夷罪の制定
【8】五衆白四羯磨具足戒の制定とサンガの地方への展開
まとめ
研究会では【1】の「律蔵の体系」を報告し、意見をいただきました。