この研究に関する森章司個人の近況報告です。
まだ公刊されていませんが、次のような2つの論文を書き上げました。1つは「原始仏教聖典にみる釈尊と仏弟子たちの一日」という論文で、もう1つは「サンガへの遺言の書としての『涅槃経』と結集」という論文です。
「原始仏教聖典にみる釈尊と仏弟子たちの一日」は、『中央学術研究所紀要』に掲載していただこうと考えて書いたものですが、A4版で74ページにもなってしまい、分量の関係から見送られたままになっています。もちろん「モノグラフ」に掲載するのがもっともよいのですが、「帯に短し襷に長し」の諺どおりに、この論文だけでは分量がたりないので、他の論文ができ上がるのを待つという状態になっています。
内容は目次をご覧いただければお分かりいただけるのではないかと思います。ページは手元にある原稿のページ数です。
【0】はじめに 001
【1】時刻・時間・時分をあらわす言葉と一日の区分 004
【2】律蔵の規定からみる仏弟子たちの一日 009
【3】経蔵の教えからみる仏弟子たちの一日 030
【4】原始仏教聖典にみる釈尊と仏弟子たちの時分別による一日の生活様態の統計 033
【5】原始仏教聖典にみる釈尊の一日 043
【6】原始仏教聖典にみる仏弟子たちの一日 062
【7】まとめ 073
「サンガへの遺言の書としての『涅槃経』と結集」は、和宗総本山四天王寺の管長をされている奥田聖應先生の「斯学五十年記念論集」に寄稿させていただいたもので、来春には公刊されるでしょう。
原始仏教聖典の『涅槃経』は釈尊の生涯最後の教えであることは言うまでもありませんが、それが特に釈尊亡き後のサンガにやってもらいたいことを説かれたサンガに対する遺言の書であって、第1結集はまさしくその遺言にしたがって開かれたということを論証したものです。これによって釈尊の指導によって運営されていた「釈尊のサンガ」は、釈尊の残された法と律を拠り所として自主的に運営される「仏教のサンガ」に展開したわけです。
これも手元の原稿の目次とページ数を掲げておきます。
はじめに 001
【1】『涅槃経』が遺言の書である証拠 002
【2】遺言の内容 006
【3】遺言にもとづいて催された五百結集 010
まとめ 012