「釈尊伝研究会」を立ち上げました 森 章司

2011.01.01

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 ところで昨年の11月末日をもって、中央学術研究所(立正佼成会)からの委託研究である「原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究」は終了しました。やらなければならないことの95%はやり遂げたと考えておりますが、なおいくつかの宿題が残されていますし、肝心の「釈尊伝」も書かなければなりません。そこで「釈尊伝研究会」を立ち上げました。

 平成4(1992)年(委託研究としては平成6年)に始まった「原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究」は、「釈尊および釈尊教団史年表」と「釈尊年齢にしたがって配列した原始仏教聖典目録」を立正佼成会理事長に提出して、委託研究としての研究を終了しました。
 この研究は次のようなものを作成することを目標としておりました(「モノグラフ」第1号に掲載した【論文1】「『原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究』の目的と方法論」をご参照ください)。
 ①「釈尊年譜」
 ②「釈尊伝」
 ③「釈尊教団形成史」
 ④仏弟子・寺院などの「各伝」
 ⑤時系列にしたがって配列した漢巴対応の原始仏教聖典(経蔵・律蔵)目録
このうち①と③は「釈尊および釈尊教団史年表」や「モノグラフ」全16冊中に掲載した「遊行と僧院の建設とサンガの形成」などの論文、④は「摩訶迦葉(Mahākassapa)の研究」「コーサンビーの仏教」などの論文や、「Visākhā Migāramātā 関係資料」などの資料集、⑤は「釈尊年齢にしたがって配列した原始仏教聖典目録」などによって達成されておりますから、残されているのは②のみということになります。しかし「釈尊年齢にしたがって配列した原始仏教聖典目録」は釈尊の伝記そのものといってよいわけですから、材料はすべて揃っています。
 ただし以前からやりたいと考えていた「釈尊と仏弟子たちの平均的な1日」がどのようなものであったのかということや、「釈尊や仏弟子たちの遊行ルート」などを研究するという課題は残されています。これは釈尊の生涯を描くための骨格とは関わりがありませんが、血肉を備えた釈尊伝を書くためには欠かせないといってよいでしょう。もちろん今までに書いてきた論文の結論をたえず検証するという作業も必要ですし、蓄積してきたデータをインターネット上で公開できるように整備するという作業も続けなければなりません。
 そこで昨年の12月1日をもって「釈尊伝研究会」という会を立ち上げました。本部は中央学術研究所の中に置かせていただき、隔月の定例研究会のお世話をいただいたり、「モノグラフ」を従来通り刊行していただいたりすることになっています。ゆくゆくは会員を公募することも考えたいと思っておりますが、とりあえずは今までこの研究に携わってきた研究者を中心として、新たに立正佼成会の関係者を加えた数名を会員とするささやかな組織です。
 このホームページもこの会が管理運営します。今後ともよろしくお願いいたします。