3月31日(水)に今年度3回目の定例研究会を行い、この年度中に「時系列にしたがって配列した原始仏教聖典目録」を編集すべく、その実際的な作業に入りました。
われわれの総合研究は「釈尊の伝記」と「釈尊教団形成史」を書くとともに、「時系列にしたがって配列した原始仏教聖典目録」を編集することを目的としています。「伝記」と「形成史」の執筆はもう少し後になりますが、「目録」はこの年度中に作成することになっています。
この「目録」は原始仏教聖典(パーリと漢訳の経蔵と律蔵)のすべてを時系列にしたがって配列してみようというものですが、そのためには釈尊の事績を年代順に並べた、いわば「釈尊年譜」とでもいうべきものを作らなければなりません。このためにわれわれは「総目次」をご覧いただければわかるような、さまざまな研究を行ってきました。おかげさまで「釈尊年譜」にはすでにかなりの記事が書き込まれています。
「目録」はこれらの記事をメルクマールとして、同時経、これよりも以前の事績を主題とする以前経、これよりも以後の事績を主題とする以後経と、これらに関連するアッタカターや本縁部経典などの第2次文献を掲載したものになりますが、このような作業を行ってみることによって、今までわからなかった事績の年代に見当がついてくるということも期待できます。実はこの「目録」づくりは、釈尊の伝記を明らかにする1つの研究方法でもあるわけです。
このような作業を行うためには、われわれが「仏伝データ」と呼んでいるパソコン内に蓄積した基礎データを整備し、より使いやすいように加工する必要があります。31日の研究会では「データ」の現況と整備しなければならない点を確認しあい、その作業に入ることにしました。(2010.4.1 森 章司)