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迦絺那衣羯磨、迦絺那衣の捨、迦絺那衣の功徳、衣時、施衣時、作衣時、時衣、非時衣、三衣、別衆食、数々食 |
迦絺那衣は'kaṭhina'の音写語であって「かちなえ」と読む。雨安居を過ごした後に布施された布で作る衣のことであるが、今まで学界において各論はもとよりのこと、総論的なことさえよく理解されていなかったので、本稿はこれについての基本的な疑問点を明らかにしようとしたものである。その疑問点とは次のようなものである。
迦絺那衣とはどのような形状の衣か。
迦絺那衣を受ける権利を有する者は誰か。
迦絺那衣の儀式はどのように行われるか。
迦絺那衣の捨とはどういう意味か。
迦絺那衣の特典にはどのようなものがあるか。
迦絺那衣になぜ上記のような特典が許されたのか。
そもそも迦絺那(kaṭhina)とはどのような意味か。
衣時・非衣時とはどのようなことか。
なお本稿は、【論文23】「原始仏教聖典にみる釈尊と仏弟子たちの一日」の姉妹編として、「釈尊と仏弟子たちの一年」はどのようなものであったかという問題意識から出発したものであるので、「まとめ」においては、上記の疑問点への解答とともに、「釈尊と仏弟子たちの一年」についても略記しておいた。