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プンナ スナーパランタのプンナ プンナ・マンターニプッタ プンナ・コーリヤプッタ プンナジ 富楼那 富留那 円満 満願子 満慈子 |
本稿はプンナとよばれる4人の比丘のそれぞれの事績の年代推定を行ったものである。
4人のプンナとは、第1は危険な地帯であったとされるスナーパランタ(Sunāparanta)地方に釈尊の心配をものともせず布教したことで知られるプンナ(Puṇṇa)であり、第2は「説法第一」と謳われたプンナ・マンターニプッタ(Puṇṇa-mantāniputta)であり、第3はあまり広くは知られていないがプンナ・コーリヤプッタ(Puṇṇa-koliyaputta)であり、第4は、パーリ語ではプンナではなくプンナジ(Puṇṇaji)であるけれども、漢訳する場合には上記のプンナと同じ用語が用いられることがある初転法輪の時に弟子となったヤサの4人の友人の1人である。
第1のプンナは、その他のプンナが独自の名をもつのに対して、このプンナは単にプンナとしかよばれず、漢訳聖典では富楼那、邠耨と音写され、円満、満願子と意訳される。本文中に書いているように漢訳語では他のプンナと区別できない場合が多く、またパーリ語でさえ区別できない場合があるから、ここでは他と区別するために「スナーパランタのプンナ」とよんでいる。もちろんこのプンナを他のプンナと区別する標相はスナーパランタに布教したということである。
第2のプンナ・マンターニプッタは、漢訳聖典では富留那弥多羅子、富留那、富那と音写され、満慈子、満願子と意訳される。パーリ語のフルネームでよばれる場合は紛れはないが、漢訳語では他のプンナと区別できないことが多い。このプンナは「説法第1」と称されるプンナであって、他のプンナと区別する場合の標識となる。
第3のプンナ・コーリヤプッタは、そもそも聖典に登場する回数は少なく、しかも単にプンナとよばれている場合はないので紛れはないが、コーリヤ族の出身で狗のような行を行う者というのが特徴である。
第4のプンナは、パーリ語ではPuṇṇajiであって、パーリ語上では紛れはないが、漢訳聖典ではこれも邠耨、富楼那と音写され、円満、満慈、満慈子などと意訳されるので、他のプンナと区別がつかない。このプンナジの標相は、釈尊の成道直後の鹿野苑における初転法輪に続くヤサの教化の後に、ヤサの友人4人が出家して阿羅漢となったとされるその中の1人である。他の3人はパーリ語ではVimala(離垢)、Subāhu(善臂)、Gavampati(牛主)であり、聖典上ではこれらの比丘たちと並記されることが多い。
本稿はこれら4人のプンナの主な事績とその年代を考察したものである。