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マハーパジャーパティー・ゴータミー ゴータミー 摩訶波闍波提 比丘尼サンガ マハーマーヤー 八重法 難陀 阿難 ラーフラ 浄飯王 新衣の布施 |
Mahāpajāpatī Gotamīについては、釈尊の生母Mahāmāyā夫人が出産直後に亡く なった後、養母として釈尊を養育したこと、Suddhodana王と の間に釈尊の異母弟となるNandaを生んだこ と、最初の比丘尼となって比丘尼サンガが成立したことがよく知られている。
比丘尼の誕生は、これによって千年続くはずの正法が五百年に減じたとされ るほどの、一つの時期を画する出来事であった。そしてこれがいつごろのことかが分かれば、比丘尼が登場する経典や律規定は、それ以降に釈尊が説かれたもの と推定することが可能になる。本稿は、Mahāpajāpatī Gotamīの伝記と比丘尼サンガ創 設の時期とその背景などさまざまな問題を、広くパ・漢の原始仏教聖典ならびに注釈書文献から資料を収集し、これを分析することによって明らかにしようとし たものである。
結論として、摩訶波闍波提の生涯と比丘尼サンガの形成についての略年譜を作ってみると次のようになる。
なおわれわれは、Mahāpajāpatī GotamīとMahāmāyāとはかなり年齢の違う妹 と姉の関係にあり、2人は同時にSuddhodanaに 嫁 いだが、姉のMāyāが 釈尊を生むとすぐに亡くなってしまったために、Mahāpajāpatīは未だ年少であったに拘わらず姻戚上の母親になったと推定する。