[目次]
はじめに
1, 「無記」説の再考
2, 「十二縁起」説の再考
3, 「無我」説の再考
結語
[論文の概要]
仏教では、原始経典から大乗経典そして密教経典にも、またインド、東南アジア、中国そして日本において書かれた祖師たちのどんな著作にも、当然のように輪廻や解脱しないかぎりは死後にも生が続くということが説かれている。しかしながら現代日本の仏教学者たちの多くは、仏教の説く輪廻や死後は単なる俗説で、それは真の仏教の教えではないと主張する。
しかしはたして仏教が輪廻や死後の世界を説くのは通俗説であって、第一義ではなかったのであろうか。おそらくこれらの主張の根拠になっているのは、釈迦仏教の基本的な教えである「無記」「十二縁起」「無我」説であろうから、これらを輪廻や死後があるかないかという視点から再考したのが本論である。
なお本稿は、東洋大学文学部発行の『東洋学論叢』第30号(東洋大学文学部紀要第58集 インド哲学科篇30 平成17年3月30日)に掲載されたものを、発行者の許可を得てここに転載させていただいたものです。記して謝意を呈します。
なお転載に際してもとの形式が崩れています。引用・参照される場合は元誌をご利用下さい。