注釈書文献
私たち研究グループは、「お釈迦さまの生涯とそのサンガ(教団)の形成史を、原始仏教聖典のほかに注釈書文献なども参照しながら明らかにしようとする」と書きました。このなかの「注釈書文献」についても、若干の解説を施しておきます。
この「注釈書文献」を、私たちは「第2次文献」あるいは「B文献」と呼び、原始仏教聖典と区別しています。
これにはさまざまなものが含まれますが、大きく分ければ論蔵と、注釈書文献(パーリ語ではこれをアッタカターと呼びます)と、漢訳大蔵経では「本縁部」に属する経典です。論蔵にはほとんどこの研究に資するような材料は含まれませんから省略しますが、注釈書文献と「本縁部」に含まれる経典の主なものを以下に紹介しておきます。
なおこの他に、後世に書かれた歴史書や、中国で撰述された文献も必要に応じて参照していますが、これは省略します。また大乗仏教の文献のなかにも釈尊や仏弟子たちに言及する部分もないではありませんが、史実として尊重すべきものはほとんど含まれておりません。
[1]注釈書文献
(1)パーリ語文献
ヴィナヤ註(Samantapāsadikā V-A.)
長部註(Sumaṅgala-vilāsinī DN-A.)
中部註(Papañca-sūdanī MN-A.)
相応部註(Sāratthappakāsinī SN-A.)
増支部註(Manoratha-pūranī AN-A.)
小誦註(Paramattha-jotikā Khp-A.)
法句経註(Dhammapada-aṭṭhakathā Dhp-A.)
自説経註(Paramattha-dīpanī Ud-A.)
如是語経註(Paramattha-dīpanī It-A.)
経集註(Paramattha-jotikā Sn-A.)
本生経註(Jātaka-aṭṭhakathā J-A.)
長老偈経註(Paramattha-dīpanī Thag-A.)
長老尼偈経註(Paramattha-dīpanī Thīg-A.)
天宮事経註(Paramattha-dīpanī Vv-A.)
餓鬼事経註(Paramattha-dīpanī Pv-A.)
義釈註(Saddhamma-pajjotikā Nd-A.)
無礙解道註(Saddhamma-pakāsinī Pṭm-A.)
譬喩経註(Visuddhajana-vilāsinī Ap-A.)
仏種姓経註(Paramattha-dīpanī Vv-A.)
所行蔵経註(Paramattha-dīpanī Cp-A.)
(2)漢訳文献
善見律毘婆沙(ヴィナヤ註)
毘尼母経(律註)
法句譬喩経(法句経註)
出曜経(法句経註)
[2]本縁部経典
(1)仏伝経典
「モノグラフ」第3号「仏伝諸経典および仏伝関係諸資料のエピソード別出典要覧」の「凡例」をご参照ください。
(2)譬喩経典
省略
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